痛風について
痛風とは
痛風とは、体内に過剰に産生された尿酸が関節に蓄積して結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気です。風が吹いても痛いということで、「痛風」とよばれています。
暴飲暴食した翌朝やアルコールを多飲した翌朝などに発作が起こりやすいですが、誘因なく発作が起きることもあります。
痛風の疫学
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、令和4年の調査では現在痛風治療で通院している患者総数は130万6千人(男性123万6千人、女性7万人)となっています。この通り男性に多い病気で、初発は30歳代が多く、発症年齢の頻度は40歳代、50歳代と続きます。
高尿酸血症の患者数は、痛風患者の10倍と推定されているため、高尿酸血症の患者数は約1300万人と推定されます。
痛風の症状
足の親指の付け根の関節(MTP関節)に激しい痛みが出るのが特徴ですが、足関節、足の甲、アキレス腱の付け根、膝関節、手関節等にも痛みが出ることがあります。発作的に痛みが出るのが特徴です。
発作と軽快を繰り返すうちに、尿酸結石や痛風結節を併発することがあります。
痛風の原因
痛風発作は、痛風の原因になるプリン体を多く含む食品の過食やアルコールの多飲で引き起こされる可能性があります。(プリン体が体内で分解されると尿酸になります。またアルコールに関しては、プリン体の有無にかかわらず、アルコール自体が血中の尿酸値を高めるとされています)
人間の体の中では一定量の尿酸が生成され、一定量が血液中に存在し、不要な尿酸は体外に排出されていきます。痛風発作では尿酸が血液内に多く存在した結果、関節内で尿酸が結晶化します。ここで白血球との反応がおこり、痛風発作が引き起こされます。
痛風の診断
確実な痛風の診断は、発作時に関節の中に尿酸結晶があることを証明することになりますが、血中の尿酸値の変動や痛風発作と判断できる臨床症状がれば診断可能です。
当院では診察と状態に応じて炎症反応をチェック(→当院では当日結果が出ます)をすることで、痛風発作の診断をしています。
痛風の治療
まずは生活習慣の改善を図ります。なるべく前述したプリン体を多く含む食品の過食を避けること、アルコールの摂取を控えることを心がけましょう。また水分摂取も非常に重要です。
ビタミンCは尿酸排泄を促進すると言われています。トマトや果物の適量摂取も心がけましょう(果物は食べ過ぎは逆効果ですのであくまで適量にしましょう)。
薬物治療に関しては、痛風発作の関節炎(痛みが出ている時)に対する治療と、その原因となる高尿酸血症に治療に大別されます。
痛風発作の関節炎に対しては、消炎鎮痛剤を使用し、関節の炎症の消失を目指します。NSAIDSやステロイドの内服でおさまる方が多いですが、場合によっては局所の関節内注射をする場合もあります(→関節内注射する場合は整形外科をご紹介します)。
高尿酸血症に関するお薬に関しては、尿酸排泄促進薬と生成抑制薬がありますが、患者さんの状態に応じて使い分けています。